一式戦闘機「隼」三型甲 穴澤少尉搭乗機、知覧より出撃!

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日の丸や桜の枝を振って見送る知覧高等女学校 なでしこ隊、その先には今にも特攻に飛び立とうとしている一式戦闘機「隼」三型甲。
搭乗している穴澤利夫少尉は風防を開けて敬礼をしています。
昭和20年4月12日知覧飛行場での、胸を締め付けられるような一枚の写真は大阪毎日新聞社による撮影。
終戦後米軍への接収を恐れて本社に厳重に保管してあったそうです。
後に『毎日グラフ』で発表されて反響を呼び。知覧の特攻平和会館に飾られたり教科書に掲載されました。

僕はインスタでたまたま存在を知ったんですが、日本人として心揺さぶられるこの写真をジオラマ化したい…という気持ちが湧き上がり、手のひらに載る極小スケールの1/144で再現してみました。
ちなみに「隼」はSWEET製1/144の一型のプロペラやエアインテークを改造して簡単に三型甲にしたものなんですが、フィギュアについては穴澤少尉は1/160、その他は1/120のプライザー製を利用しています。

なおジオラマの大きさは、この「隼」に搭乗して帰らぬ人となった穴澤利夫少尉が婚約者に対して書いた最期の手紙の便箋のサイズ、20×13cm(知覧特攻平和会館所蔵)としました。

参考資料としては後に色付けされた画像、水口文乃著『知覧からの手紙』、および2008年にフジテレビで放送された『千の風になってドラマSP なでしこ隊~少女達だけが見た特攻隊』を観て考証しています。

自分なりにこだわったのは、プロペラはなんとかして回すという事。
これが出来ないとジオラマとして意味がないと考えました。
なので直径4mmの小型モーターを仕込んでいます。
また、写真を見ると、なでしこ隊の前には水路があるように見えるのですが浅いのか深いのかなどの詳細は全く不明…(終戦後知覧飛行場は米軍によって取り壊されたため資料がないのです。)
でも僕は、この水路は征く人と見送る人を隔てる"結界"のように思えたので暗く、深く表現しました。

ところで、午前中からこのジオラマを作っている事も多かったんですが、テレビからはいつもNHK−BSでのMLBエンジェルスの試合が流れていました。
敵国から祖国を守るために命を捧げた若者の姿に思いを馳せながら、同時にかつての敵国で二刀流として活躍する大谷翔平の一挙手一投足に釘付けとなる事に思わず違和感…というか複雑な感情を抱きます。
しかし、それは先人たちが戦後築いてきた平和の有り難さなんだなぁ〜とあらためて感謝する機会でもあるのでした。

作家名 E49FXNさん
データ スケール:1/144
サイズ:20cm x 13cm(穴澤少尉の最後の手紙の便箋のサイズ)
個展 E49FXNさんの個展ページ

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